我々はジャムを知らない。
彼らの母星、生態、文明、言語はもちろんのこと、
地球に飛来した目的までも謎に包まれた異星体「ジャム」。
しかしその名は、我々地球人が仮に名づけたものでしかない。
我々は、ただ「ジャム」が南極の空間通路の向こう――
惑星フェアリイでFAFが日夜戦っている相手であることしか知らない。
しかし、ジャムが送り込んでくる戦闘機すらも、形状・機能ともはっきりせず、
FAF戦闘機とは根本的に異なる“何か”であることを辛うじて推測するのみなのである……。



JAM TYPE01
【DATA】
全  長 14.5m?
全  幅 (最大時)30m?
(最小時)12m?
全  高 6.5m?
自  重 不明
総重量 不明
エンジン 不明
最大速度 マッハ2以上(フェアリイ星大気内)
実用上昇限度 高度15,000m以上(フェアリイ星大気内)
兵  装 AAM数発?
乗  員 不明
機体荷重限界 9G以上?

【機体解説】
 ジャム側の航空機には、いくつかの機種があることが知られているが、そのうち最も頻繁に現れるのが、この「ジャムTYPE 1」だ。この機体は、FAFの戦術戦闘機・制空戦闘機に相当すると考えられている。無尾翼機であるTYPE 1は、中央下面に大きな垂直翼を持つ。主翼は可変翼、デルタ翼の主翼本体から後方に伸びた部分は、高速飛行時には鋭い前縁後退角を持つ細長い平面形に形を変える。さらに減速時には、直線翼形態に変わることが、研究者たちによって確認されている。機体外形は平面で構成されるが、これがステルス性を求めるためなのか、あるいは何らかの空力的要求に基づくものなのかは、諸説別れるところだ。またエンジン形式も、現在のとこ解明されていない。FAFが撮影した資料映像を見る限りでは、胴体後部の下面に2〜3の噴気口らしきものを見つけることができる。しかし空気取り入れ口のような開口部は見当たらないため、地球側のジェットエンジンとは明らかに異なる推進装置を用いていることだけは確かなようだ。

 ジャムを研究しているある専門家によると、「原理はわからないが、噴気口の数や位置、大きさは一定でなく、連続的に変化しているとしか考えられない」という。同様に、空対空ミサイルの発射口の位置と大きさについても連続的変化が見られるという報告もされており、何にせよジャムの航空機は、我々にとって未知の工学的原理(といっても、我々地球人が使うような意味での“機械”ではないのかもしれないが……)に基づいていることだけは確かなようだ。

 さらに飛行中のジャム機は、機体表面に明暗の縞模様を浮かびあがらせる。しかも、それは目まぐるしく変化するのだ。一体これは何を意味するのだろうか? 数少ないジャム研究者たちは、「おそらく何らかの光学的な迷彩である」であるとか、あるいは「ジャム機同士のコミュニケーション手段であるかもしれない」などという自由な、もとい最もらしい、もとい地球的固定観念に囚われた人間がつい一蹴してしまいがちな意見までも丁寧に検証を続けている。

 確かに、飛行中も細かく振動(?)しつづけるジャム機を捕捉しつづけるのは、パイロットの目に多大な負荷がかかるだろうし、あの動く縞模様をじっと見ていると私などはイライラしてくる。だがしかし、そんなことをしなくてもジャム機は、我々地球人にとって甚だありがたくないことに、十分以上強力な機体なのである。

 リン・ジャクスンの有名な言葉を借りるまでもなく、我々地球人がジャムを語るときに、「不可解」という単語ほどふさわしい言葉はないだろう。まさしく、不可解。開戦からすでに数十年が経過しているにも拘わらず、我々は「ジャム」と名づけられた異星体のことをほとんど知らない。彼らがなぜ地球に侵略してきたのか? その目的と同様に、彼らが所有する航空機のメカニズムもまた一切が不明のままなのである。

 それはなぜか? ジャム機の乗員が、いまだ誰ひとりとして確認されていないということも要員のひとつだろう。FAFは、ジャムとほとんど毎日交戦しているにもかかわらず、撃墜した敵機の残骸から、乗員の遺体や遺留品を回収したという事実を公表していない。設立以来1度も、である。さる関係者筋からの情報によると「あれは公表しないのではなく、ジャム機は無人機だから回収しようがないのだ」ということなのだが……。

 ジャム機が無人機と考えられている理由は、他にもある。噴射口やミサイル発射口の連続的変化。ジャム機が地球側の航空機や戦術の改良に速やかに対応していることなどだ。

 中には、ジャム機そのものが生物であるとする説もある。その説を証明できるものはないが。ジャム機には、その前部(地球の有人機では、通常コクピットのある位置)に特異な螺旋状の発光を示す部分が存在する。この部分が、ジャム機の行動を管制する中枢部ではないかと見られている。




【DATA】
全  長 79.5m
全  幅 23m
全  高 23m
重量 不明
エンジン 不明

【機体解説】
 ジャム側は、しばしば地中から巨大なブースターを用いてTYPE 1を発進させるが、これが通常の運用形態なのか、それとも局点防衛や奇襲のための特殊な運用なのかは定かではない。

 ブースターは三角柱形のユニットが3本まとまった形で、先端部にTYPE 1が取りつけられ、さらにその機体を「シェルカバー」と呼ばれる防護カバーで覆っている(シェルカバー表面にある突起はTYPE 1の垂直翼の一部が突出しているものだろうか?)。

 ブースターは比較的浅い地中から、垂直ないしはそれに近い角度で打上がり、高度1万〜1万5,000m程度、速度マッハ4近くまで達したあたりで、3本のブースター・ユニットが切り離される。次いでシェルカバーが分離されたところで、TYPE 1は自力飛行に移る。

 一見ロケット推進を用いているようだが、ほかのジャム機と同様に、推進剤・燃焼剤の種類や性質は不明。ブースターの推進ノズルも、噴気口と同じく数や位置が不定であるようだ。




【DATA】
全  長 47.57m?
最大速度 マッハ5以上?

【解説】
 ジャムが用いた超高速の大型空対空ミサイル。弾頭には数キロトンの核弾頭が装備されており、飛翔速度は低空でもマッハ5以上と推定される。

 正確な飛行速度、誘導方式ともに不明。これだけ高速で飛ぶことから、おそらくは非常に優秀な機動性と耐G構造を持っているのだろう。空気密度の高い低空をマッハ5以上で飛翔する際には、弾頭部が空気との摩擦で赤熱していたという元関係者の証言記録が残っているが、あるいは表面燃焼推進を用いているのかもしれない。またFFR−31MRの後方から追尾した時にはESMシステムに探知されたのが事実なら、誘導方式はおそらくアクティブ・レーダーホーミングであるとも考えられる。

 このような高速ミサイルは、接近を探知することは可能でも回避や阻止は極めて困難で、FAFは甚大な損害を受けたという。ジャムが高速ミサイルを頻繁に使用した場合には、FAFにとって戦局は非常に苦しいものになったと思われるが、幸いなことに高速ミサイルの使用はいかなる理由かごく短期間に終わっている。




【DATA】
全  長 22.2m?
全  幅 14.65m?
全  高 5.65m?
自  重 不明
最大離陸重量 不明
エンジン ターボファン?×2基
最大速度 マッハ3.0?
兵  装 ガトリング機関砲×1門
外部ハードポイントにAAM×4発
乗  員 不明

【機体解説】
 戦術戦闘航空団特殊部隊のスーパーシルフが遭遇したといわれる機体。記録映像が残しているグレイシルフはFFR−31MRそのもので、さぞ目視の識別は困難だったことだろう。

 FFR−31MRのセントラル・コンピューターは“敵機”として識別したという。最初の遭遇では第5飛行隊のFFR−31MR(一説ではMR/D)が目視でスーパーシルフと確認したが、機のIFFが敵機と識別して交戦、これを撃墜したらしい。FAFのスーパーシルフは戦術戦闘航空団の機も防衛偵察航空団の機もこの日は出撃全機が帰還しており、消去法を用いた結果、当時の首脳陣たちは“グレイシルフ”を“敵性”であると判断した。これ以後、FAFのFFR−31MRと“グレイシルフ”の遭遇は少なくとも1回起こっている。

 当時FAF基地内では、ある陰謀説が囁かれていた。いわく、“グレイシルフ”は対ジャム戦争の情報をほぼ独占しているFAFに対して、地球側が情報収集のために送り込んできた機体であるというものだ。またそれとは別に、FFR−31MRがFAF側で最も高性能で、戦闘での損失もないことから、ジャムがFFR−31MRを捕捉するために作り出した偽物とする説もあったというが、私としてはおそらく後者の方が真相に近いのではないか? と思う。

 唯一戦闘中に失われたとされるFFR−31MRは、実はグレイシルフとの交戦で撃墜されたとの未確認情報もある。ただし最初の遭遇ですでに第5飛行隊はグレイシルフの存在を知っていたはずで、だとすれば「スーパーシルフに酷似した機体による奇襲効果」はこの時すでに失われているはずだ。FFR−31MR喪失の状況は不明ではあるが、本物のスーパーシルフが偽物に容易に撃墜されたとは信じがたい。



※ジャム機に関してはほとんど確定的な情報がなく、FAFが公式が発表しているデータも、漠然とした特徴と概念的な外形図だけである。最後に、ジャム機に関するデータのほとんどは、アメリカのオンライン刊行物『エヴィエーション&スペース・テクノロジーズ・Eウェブ』の載せられた、ボブ・ファラハン記者の署名入り記事に参考にしたことをお断りしておく。同刊行物は、「ジャムTYPE1」というキャプションつきの非常に不鮮明な写真を1点だけそえたこの記事を最後に、ジャムに言及することを忘れてしまった。ちなみにデータと写真の出所についても、明確な記述はなされていない。

※FAFの公式発表では、ジャム・ブースターの存在を明らかにすることのみにとどまっており、FAF退役者の証言や手記などといった非公式の情報に基づいており、真偽のほどは確かでない。




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